倒産するような建築先を選ばない 「近くの展示場にも出てはるし」-1
最近、私の事務所に 「依頼していた住宅メーカーが倒産して、その後 どうしたら良いか」 の
ご相談を、たまたま お二方から受けています。同じ家づくりに携わるものとしては、辛い話ですが
しかし ご当人にとっては、大変な問題です。何とか良い方向に行く お手伝いができればと思っています。そこで今回 「このような事に会わないためには、何に気をつければ良いのか」 を
テーマにして、この ご相談の方のケースも参考にして、お話します。

某住宅展示場
そこで 第1回は、私の事務所で ご相談を受けている お二方共に仰った 「近くの展示場にも出てはるし」 から お話します。確かに近くの住宅展示場に出展されていると お客様は、信用もしますし安心もされます。それだけ家は、大きな お金が動くので、展示場にも出ていないような小さな
ところは、不安という心理が働くものと思います。同じように 「テレビで宣伝してるから」 とか
「大新聞や有名雑誌に よく掲載されてる」 も同じような安心する要素として働いていると
思います。だからこそ住宅各社は、展示場とかテレビCMという 高額な宣伝広告をする訳です。
しかし この宣伝広告費は、住宅会社に取っても かなりの負担になります。それに見合うだけの
棟数が契約できて完成しないと、宣伝広告費を捻出できなくなります。ですから 展示場に
出展していても、経営的に苦しい会社もでてくる訳です。
倒産するような建築先を選ばない 「近くの展示場にも出てはるし」-2

住宅展示場のモデルハウス
前回は 展示場に出展してる会社にも、経営的に苦しい会社もでてくる話をしました。概ね一つの
展示場では、月に3棟の契約が経営の目安とされています。またこのように、展示場やテレビ等の
宣伝広告にコストをかける住宅メーカーは、ほぼ 30% 以上の利益が必要とも言われています。
この辺の目標が達成できないと経営的に苦しくなります。今は 住宅業界もハデには見えても
少子高齢化や住宅が充足してる状況から競争が熾烈ですので、目標を達成できない住宅メーカーもでてきます。このような状況ですので、テレビで宣伝してるとか 展示場に出展しているだけで
一概に安心というのは考えものです。
倒産するような建築先を選ばない 小さな工務店なら大丈夫?-1

住宅メーカーが危ないから 「小さな工務店の方が大丈夫なんじゃないかと思います」 とある方から言われた事があります。しかし これも一概には言えません。先ず小さな工務店と言っても、個人宅の御抱え大工さんのような存在は ほとんどなくなりました。と言うことは小さな工務店さんは、住宅メーカーさんや建売業者さんから仕事を受けている(属に下請さん)工務店さんか、何らかの組織に属して営業している工務店さんという事になります。

日本一のFC住宅メーカー アイフルホームの雑誌広告
全国加盟店というのが、各地でFCに加盟している工務店さんのことです。
さて その組織にもいろいろありますが、一番多いのが FC(フランチャイズ)住宅メーカー です。
具体的には、アイフルホームさんとかユニバーサルホールさんのような、フランチャイズ展開している住宅メーカーです。そんなフランチャイズ住宅メーカーに加盟して、そこの看板で営業している工務店さんは、会社は小さくてもフランチャイズ住宅メーカーのブランドで商売ができるので、営業的にメリットがあると言う事です。しかし このような場合に注意が必要なのは、フランチャイズ加盟の工務店さんは フランチャイズ住宅メーカーの下請ではありませんので、契約する先は その工務店との二者契約がほとんどで、契約に対する責任は 一切契約した工務店が負い、フランチャイズ住宅メーカーは負わないケースが一般的ですので、契約内容を十分確認する必要があります。つまり、名前の売れたフランチャイズ住宅の商品を契約しても、請け負っているのは 加盟工務店ですので
ブランドの名前よりも 工務店の経営がしっかりしているかが大事です。
この続きは次回お話します。
倒産するような建築先を選ばない 小さな工務店なら大丈夫?-2
一口に工務店と言っても、自主独立で営業している工務店以外は、住宅メーカーや建売住宅会社の下請をされたり、色々な組織に属して、その組織のブランド名で営業されていたり、それらと自主独立の営業を併用されていたりと様々です。その何れの工務店も、関わっている組織との仕事関係が順調でないと経営的には苦しくなります。このような工務店の経営状態を判断する事は難しい事ですが、元請の住宅メーカーの業績や属している組織の業績を株式情報誌や業界情報誌で調べる事はできます。また、依頼しようという工務店の半年から1年以内の竣工実績から判断することもできると思います。そのためには、依頼先の施工実績や どんなところからの仕事をしているのかを聞く事も必要です。ただ属している組織が有名であっても、契約が二者契約の場合は、属している組織には責任が生じませんので、あくまで契約しようと考えている建築先の実績で判断することが大事です。会社の規模とか有名とかの判断でなく、あくまで半年から1年以内ぐらいの実績をベースに決めるのが良いと思います。
※尚 参考までに、色々な家づくりの工務店を会員にした組織を下の表で紹介します。

倒産するような建築先を選ばない 設計事務所は大丈夫?
住宅メーカーや工務店は どうかの話をして、設計事務所の話をしないのは片手落ですので、同じ設計事務所の人間ですが、建築設計事務所は どうかの話をします。まず 建築設計事務所の仕事は、家づくりの着工に至るための設計や確認申請手続業務がメインですので、住宅メーカーや工務店等の倒産の場合のような大きな金銭的被害はでにくいと思います。しかし設計は、設計の良し悪しによって住み心地が悪かったり 暮しにくかったり、ひどい場合には欠陥住宅になったりする事もあります。それだけに、建築家や設計事務所選びは 大変 大事です。その選び方のポイントですが
①ご自分が共感できる実績がある
②実績を確認する
③建築家や建築士と相性が合う
④事務所を訪問する
以上の項目をチェックしてみてください。(余談ですが 私のところも合格するとは限りませんが)
このようにして、ベストの家づくりパートナーをみつけられたら、そのパートナーがプロの眼で建築先をチェックしますので、倒産するような建築先を選ぶことはないと思います。
倒産するような建築先を選ばない 「急がされた入金」
依頼されていた建築先が倒産して、私が相談を受けている AさんやBさんの話を伺っていて共通しているのは、入金を急がされた点です。Aさんは、地鎮祭あたりまでに営業マンから急がされて、1000万円を入金したそうです。またBさんは、既存家屋の解体もしないうちに300万円を入金されました。結局 依頼された住宅メーカー側は、会社の資金繰りが苦しいので このような要望を、着工を早くするとかの理由をつけて、営業マンに言わせたものと思われます。もし、今どこかの住宅メーカーや工務店に依頼されていて、契約の支払予定より早い入金を迫ってきましたら、それは危険信号です。入金には応じないで、インターネットや色々な方法で その建築先を調べてみましょう。その上で どうするか判断してください。尚、建築の契約書には必ず、支払方法と支払予定日が記入されています。それを途中で変更する事はありません。下の書類は、私が携わったお客様の時の契約書の抜粋です。会社によって様式は違いますが、このような記載が必ずありますので確認してください。

倒産するような建築先を選ばない 倒産するような建築先を選ばないポイント
①契約書の入金予定を前倒しで、入金を迫るようなところは避けた方が良いです。
一時的な支払方法は、基礎完了 で 1/3 上棟屋根仕舞完了 で 1/3 引渡時 で 1/3 あたりです。
尚 契約金は、100万円 程度が目安で、基礎完了時は、契約金を含めての 1/3 です。
また、設計事務所に設計監理を依頼される場合は、設計事務所が、工事の出来形査定
(工事が工程に対して、設計通りの出来上がりか、を査定します。)に基づく支払いですので
設計事務所の承認報告を受けて、支払えば良い事になります。
②工務店に依頼しようと考えておられる場合は、その工務店が元請の現在工事中の現場と
半年前から1年以内の完成現場を確認するのが良いと思います。
但し、FC系や色々な家づくりの会員に入ってる工務店で、同じ商品や同じ考え方の家づくりを
依頼するからといって、違う工務店の現場を見ても その工務店の信用調査にはなりません。
③上場しているような大きな住宅メーカーや建設会社を選ばれる時は、株式情報やインターネット
等の情報にも目を向けて、上場会社・名門企業・有名な会社 とか、テレビで宣伝している
会社だから安心だというような先入観を持たない判断が必要です。
④依頼しようと考えている建築先が、フランチャイズの住宅会社(工務店)や色々な家づくりの
会員工務店の場合 契約の方法が、2者契約か3者契約かを先ず確認する必要があります。
そのうえで、2者契約・3者契約共に、属する本部(FC本部やグループ本部)の責任範囲
特に依頼する工務店が、万が一 倒産した場合は、どのように契約を履行してくれるのか等の
確認は必要です。最近は FC系や家づくりグループは、完成保証の保険に入っているから安心 と
強調しますが、そのような場合の工事を契約通り進める為の具体的なサポート体制について
詳しく説明を求める事も大切です。
さらに、アフターメンテナンスや10年保証(メーカーによっては、60年保証とかもあります。)の
具体的なケースでの保証内容やアフターケアについて、どうなるのかも確認しておくと安心です。
以上のような項目をチェックした上で建築先を決定すれば、結果において倒産するような建築先を
選ぶ事にはならないと確信致します。
倒産するような建築先を選ばない 過去の倒産事例
住宅業界は、テレビ・雑誌等の宣伝も派手ですし、展示場に出展しているところも多いので
経営規模よりも大きく見える傾向にあります。また、特別な経営資源や特殊な技術力がなくても
新規参入ができるため、業界企業間の競争が大変激しいのが特徴です。そのため、結果として
倒産したところも相当数にのぼります。そのなかで、最近の倒産事例をあげてみますと
1997年に倒産した グランベルハウス(東京) や 2005年に倒産した グローバルハウス(大阪)
の倒産の原因は、無理な低価格販売と拡大を急いだ為だと言われています。次に、2002年に
倒産した ニッセキハウス工業(東京) の場合の原因は、経営者の問題と、その後 支援を受けて
再生を計りましたが、時代に受けいれられる商品力や営業力が発揮できず、倒産に至ったと
言われています。さらに、2002年に倒産した 殖産住宅(現在ある殖産住宅は 支援を受けた再生会社です。) も、時代のニーズを捉えきれない企業体質と営業力不足が、倒産の原因と言われています。また 殖産住宅と共に、月賦販売方式で一時代、木造住宅ご三家 と呼ばれた 太平住宅 も
日本電建 も、やはり 2002年に倒産に至りました。(日本電建は 大東建託が支援再生)
このように 全盛時、世界一の住宅メーカーと呼ばれた殖産住宅も、住宅革命を唱え、マスコミにも
多く取り上げられ、ニュービジネス大賞特別賞を受賞したグランベルハウスも倒産に至ってしまいました。このような結果をみますと、会社の規模や名門企業であるとか、マスコミで話題の有名企業で
あるとかに関わらず、倒産は起こるという厳しい現実があるということを、忘れないように知っておく
必要があると思います。
住宅革命 と言われた Gハウス の広告
倒産するような建築先を選ばない 住宅業界の変遷
日本の戸建注文住宅をリードしてきた、注文業界の変遷を表にしてみました。
住宅業界を時代背景で分類してみますと
①住宅不足、資金不足の昭和20年から30年代は、月賦積立方式で世の中のニーズに答えた
殖産住宅相互・太平住宅・日本電建等の木造住宅メーカーの時代でした。
②昭和30年代後半には、大工不足を補えて、安いコスト、早い工期で住宅の大量供給が可能な
プレハブ住宅が開発され、大和ハウス・積水ハウス・ナショナル住宅らのプレハブ住宅が登場し
今日の住宅産業の形が形成された時代です。
③その後 昭和40年代以降、住宅産業が日本の経済成長の要と捉えられる時代が続き
時代の多様化と共に、色々な業界から住宅業界に参入する動きが顕著になりました。
そして バブル期を向え、バブル崩壊へと続く事になります。
④平成10年 1998年あたりから高齢化社会、少子化社会の事が、問題視されるようになり
今日に至るまで、戸建住宅新築着工の減少と共に、ストックの見直しから、リフォームが
注目されるようになりました。そして、各住宅メーカーもリフォームの強化を計り
新築とリフォームを同じ扱いで考えるようになってきました。
以上のような時代背景の中で、無理なコストで受注に走る住宅メーカーや、多様化している
顧客ニーズに答えられる、肌理の細かい対応力を持たない住宅メーカーが、住宅業界から
退場することになった事は、表に示された住宅メーカーの倒産事例が表していると思います。


